世の中には、困っている人を助けるためのたくさんの制度があります。
健康保険や年金のように、みんなで支え合う仕組み。
公務員にはさらに、共済組合や各種手当など、民間企業にはない制度が数多くあります。
しかし、意外と知られていない制度も多く、使わないまま損をしているケースも少なくありません。
その多くは「申請しないと使えない」「知らないと助けてもらえない」仕組みになっているからです。
たとえば、医療費が高額になったとき。
実は公務員には、自己負担が数万円までに抑えられる制度があります。
ですが、その存在を知らない人は意外と多いのです。
かくいう私も、FPの勉強を始めるまで知りませんでした。
この記事は、こんな人のための記事です。
- 公務員には制度がたくさんあるけど、自分が損していないか不安
- なるべく損せず、もらえる給付はもらいたい
- 保険や家計を見直すヒントが欲しい
安心してください。
この記事では、市役所で累計約10年働く現役公務員の私が、実際に使った制度や、FPの勉強をして初めて知った制度の中から、「知らないと損する」と感じたものを5つ紹介します。
窓口対応や組合役員を通じて学んだことも交えてお伝えします。
ご自身に置き換えながら読んでみてください。きっとそのモヤモヤを晴らせるはずです。
①育児休業の手当
まず一つ目は、育休制度についてです。
私も一人目、二人目ともに取得しました。ざっくりしたイメージはこうです。
- 最初の1ヶ月ほどは、手取りとほぼ同じ水準(夫婦で育休を取った場合)
- 半年までは、手取りの8割程度
- 半年を過ぎると、5割程度
「半年過ぎると手当が減る」というのは、このことですね。
正確には、手当の額は「給料の67%(半年まで)→50%(半年以降)」と決まっています。
「あれ、8割じゃないの?」と思った方、安心してください。
この手当は非課税で、育休中は社会保険料も免除されます。
だから額面は67%でも、手取りで比べると実質8割程度になるんです。
そして2022年からは「産後パパ育休(出生時育児休業)」が始まりました。
夫婦ともに14日以上の育休を取るなどの条件を満たすと、最大28日間は13%上乗せ。
この期間は手取りとほぼ同じ水準になります。
何より大切なのは、職場との調整
私の経験から一番大切だと感じるのは、育休を取れるように職場と早めに調整しておくことです。
男性の育休も取りやすい空気が少しずつできてきましたが、長い期間となるとまだ抵抗感もあるようです。
私は1人目・2人目とも育休を取りました。
でも振り返ると、半年程度取ればよかったと感じています。
理由はこうです。
- 子どもの首がすわる時期まで一緒にいられて、妻が安心できる
- 検診や予防接種の日程調整がしやすい
- 上の子の保育園の送り迎えに追われることが減る
- 職場としても、長期間の方が代わりの職員を配置しやすい(1〜2ヶ月の短期だと、代替職員の配置が難しいことがあるようです)
何ヶ月休むのか、自分の仕事で調整が必要なことはないか。
同僚や上司には早めに相談しておきましょう。
私の失敗談:収入の「空白期間」に注意
正直に言うと、私の場合、お金の流れは思ったより大変ではありませんでした。
ただしそれは、たまたま休みに入った時期が良かったからです。
私の育休は年末も含んでいました。
ボーナス(期末勤勉手当)や年末調整の還付金が入るタイミングと重なったため、手当の振込(休みに入って2ヶ月ほど後)までの間も、収入が途切れた感覚はありませんでした。
でも、これは運が良かっただけです。
育休中、給与は支払われません。
休みに入るタイミングによっては出勤日数に応じた日割りの給料が出ることもあるようですが、基本的には手当の初回振込までの1〜2ヶ月、収入のない期間ができると考えておいた方が安全です。
「なんだ、自分は大丈夫そうだな」
と思いましたか?
私もそう思っていました。
そして油断しました。
育休中は日中に時間ができる日もあります。
ついつい妻と外食に行く回数が増え、スイーツを食べに行くことも増えました。
予定していなかった出費で、危うく他の支払いが滞りそうになりました。
家にいる時間が増えると、むしろお金を使う。
これは盲点でした。
さらに注意したいのが税金です。
育休中は給与がないため、これまで給与から天引きされていた住民税を自分で納める必要が出てきます。
「天引きされていた税金を、自分で払う」という、普段はない出費がやってきます。
忘れた頃に来る数万円は、地味に効きます。
これから育休を取る方へ。
休みに入る時期によって、お金の流れは大きく変わります。
ボーナスの時期と重なるのか、手当が入るまで何ヶ月あるのか。
事前に確認して、少し余裕を持って備えておきましょう。
外食や間食はほどほどに(笑)。
育休中の転職活動についてはこちらもどうぞ。

②共済貯金
二つ目は共済貯金です。
共済貯金は、公務員や共済組合の加入者しか利用できない貯蓄制度です。
私は主に教育資金として、毎月コツコツ積み立てていました。
当時はよくわからずに使っていましたが、振り返ってみると、とてもお得な制度だったなと思います。
メリットは、利率の高さ
私の共済では、貯金の利率は年1%ほどです。
一般的な銀行預金と比べても高い水準でした。
利子には税金がかかりますが、それを引いても実質0.8%ほど残ります。
イメージとしては、100万円貯めたら毎年8千円ほどのお小遣いがもらえる感覚です。
利息にもさらに利息がつくため、長く続けるほど効果を実感しやすい仕組みです。
デメリットは「すぐに引き出せない」こと
いいことばかりではありません。
共済貯金は、すぐにお金を引き出せないのが弱点です。
共済によりますが、月の決められたタイミングでしか引き出せないため、急な支払いには対応できません。
まとまった出費の予定があるときは、事前に引き出しておく必要があります。
私のお金の置き場所の使い分け
- 新NISA:子どもの教育資金など、10年以上使う予定のないお金
- 共済貯金:数年以内(2〜3年)に使いそうなお金
- ネット銀行:普段使いのお金・給料の受け取り(私は楽天銀行を使っています)
実は今、私は共済貯金の積立額を減らしています。
新NISAを優先しているからです。
理由は、リスクを取ってもいいと思える範囲のお金は、より利回りの高い場所に長期間置いて、複利の力を最大限に活かしたいと考えたからです。
それでも、「数年以内に使う予定のお金」の置き場所としては、共済貯金は今でも非常に魅力的だと思っています。
新NISAについての失敗談はこちらもどうぞ。

③高額療養費制度
3つ目は高額療養費制度です。
この制度は、公務員だけのものではありません。
健康保険に加入している人なら、誰でも使える制度です。
ざっくり言うと「医療費の自己負担に上限がある」制度
病気やケガで医療費が高額になっても、1ヶ月の自己負担額には上限が決められています。
たとえば、手術で医療費が100万円かかったとします。
窓口負担は3割なので30万円……ではありません。
高額療養費制度のおかげで、実際の負担は月9万円程度で済みます。
一般的な所得水準の方であれば、自己負担額は月8〜9万円程度になるケースが多いです。
【2026年から制度が変わります】
この高額療養費制度が、2026年から段階的に見直されることを知っておきたいです。
大きな変更は2つあります。
ひとつは、月ごとの自己負担の上限額が少しずつ引き上げられること。
もうひとつは、新たに「年間の上限額」が設けられ、1年を通して医療費がかさんだ人の負担が抑えられるようになることです。
具体的な金額は所得や時期によって変わります。
最新の情報は、ご自身の健康保険や厚生労働省のページで確認してみてください。
「限度額適用認定証」で、窓口負担を最初から抑えられる
高額療養費は、原則「一度窓口で払って、後から戻ってくる」仕組みです。
ただ、事前に「限度額適用認定証」という書類を用意して窓口で見せれば、最初から上限額までの支払いで済みます。
この書類は、加入している健康保険によって手続きが必要です。
職場の人事課(国民健康保険なら市役所)に確認してみてください。
私自身、この制度を知ってから「民間の医療保険は、そこまで手厚くしなくていいかな」と考え、保険を見直して解約したものもあります。
医療保険に入る前に、高額療養費制度を知っているかどうかで、必要な保障額は大きく変わります。
④附加給付
4つ目は附加給付です。
これは、先ほどの高額療養費制度にさらに上乗せされる制度です。
公務員の共済組合や、大企業の健康保険組合にあります。
正直なところ、私自身はまだ利用したことがありません。
FPの勉強をして初めて知った制度です。
市役所で働いていても知らなかったくらいなので、公務員の方でも知らない人は意外と多いのではないでしょうか。
ざっくり言うと「高額療養費よりさらに低い上限」
高額療養費制度は、医療費の自己負担を「月8〜9万円程度」に抑えてくれる制度でした。
附加給付は、その自己負担をさらに低い金額まで抑えてくれます。
私の共済の場合、自己負担が1か月・1つの医療機関で25,000円を超えたら、超えた分が戻ってきます。
しかも、申請は不要。自動で計算されて、後から戻ってくるのです。
- 一般的な場合:高額療養費で、自己負担は月8〜9万円程度まで
- 私の共済の場合:附加給付で、自己負担は月25,000円程度まで
※附加給付の金額や内容は、共済組合によって異なります。
医療保険の必要性を見直すきっかけになった
突発的な入院や治療があっても、自己負担できる蓄えさえ持っておけば、最終的な負担はかなり少額で済みます。
毎月コツコツ医療保険にお金をかけるより、いざというときに使える蓄えを用意しておく。
そのほうが、日々の不安を減らせると私は考えています。
そんなこともあって、私は医療保険を解約しました。
もちろん、誰にでも「医療保険は要りません」と言うつもりはありません。
持病のある方や、貯えに不安がある方には、保険が安心材料になります。
ただ、人によっては、保険の必要性をかなり低く見積もれるはずです。
この制度は、公務員だけのものではありません。
大企業の健康保険組合にも、同じような「付加給付」がある場合があります。
ご自身の職場の健康保険に、こうした上乗せ制度がないか、改めて確認してみてください。
保険・固定費の見直しについてはこちらもどうぞ。

⑤ふるさと納税
最後はふるさと納税です。
テレビCMでも見かけるようになり、世間的にも耳馴染みのある制度になってきました。
それでも「まだやっていない」「本当にお得なの?」と感じている方は、まだ大勢いるように思います。
ざっくり言うと「実質2,000円で返礼品がもらえる」制度
寄付すると、その金額のおよそ3割にあたる返礼品がもらえます。
そして上限額の範囲内なら、寄付額のうち2,000円を超えた分が、翌年の住民税や所得税から差し引かれます。
つまり、実質2,000円の負担で返礼品がもらえる、という制度です。
「ふるさと」とついていますが、住んだことのある場所という縛りはなく、全国どこの自治体にでも寄付できます。
職場の同僚に勧めてみた
私が職場の方に説明して、始めてもらったときの話です。
最初の感想は
「聞いたことはあるけど、お得になる理由がわからないし、手続きが複雑そう」
というものでした。
そこで、スマホアプリから簡単に始められること、全国どこでも寄付できること、何より寄付することでお得になる仕組みを説明しました。
その方は不安だったようで、1万円から始めてみることに。
すると2年目、3年目と経つうちに、寄付額を目一杯まで増やし、家族と一緒に始め、友達にも勧めるようになりました。
今では「ふるさと納税をやらない選択肢はない」と言っています。
ふるさと納税で失敗しないための3つの注意点
心からおすすめできる制度ですが、いくつか注意点もあります。
これを「わかりにくい」と感じて敬遠する方が多いのも事実です。
ざっくり挙げると、こうです。
- 寄付できる上限額は人によって違う(収入や家族構成で変わる。超えた分は戻らないので要確認)
- お得を実感できるのは翌年(翌年の税金が安くなる仕組みなので、実感しにくい)
- 申請を忘れると損する(申請しないと税金が安くならない)
正直、文字で説明するとわかりにくいですよね。
でも、一度やってみればハードルはぐっと下がります。
まずは少額からでも始めてみるのがおすすめです。
私自身、ふるさと納税を続けて約10年になります。
毎年リピートしているお気に入りの返礼品もあります。
たとえば返礼品に生活必需品を選べば、毎月の生活費の節約効果も実感しやすいです。
「知っている人」が得をする。だから…
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。
知らないと損する制度について、少しでも知っていただけたなら嬉しいです。
今回ご紹介した制度に共通するのは、「知っている人だけが得をする」ということ。
どんなにお得な制度も、知らなければ使えません。
だからこそ、ぜひ一度、ご自身の職場や共済の制度を調べてみてください。
「調べるなんて面倒くさい」と感じるかもしれません。
でも、30分や1時間の手間をかけるだけで、これから先、何年にもわたってあなたの生活を変えられるかもしれないのです。
私自身、FPの勉強を通じて初めて知った制度がたくさんありました。
そして、その多くは「もっと早く知りたかった」と思うものばかりでした。
その知識を、私だけでなくたくさんの人に知っていただくことで、皆さんのお金の不安が少しでもなくなったなら——それが、私がこのブログを書いている理由です。
この記事が、あなたの生活を少しでも良くするきっかけになれたら嬉しいです。
FPを目指したきっかけや勉強法はこちらもどうぞ。


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