幼い頃から憧れた警察官の夢を諦めた人、現実と理想のギャップに苦しんでいる人、挫折して自分を責め続けている人へ。
私は県警に1年半勤め、心が折れて退職した経験があります。その後、市役所に約10年勤め、現在は家族と穏やかな毎日を送っています。
この記事を読めば、夢に挫折した当時の心境・立ち直るまでのきっかけ・挫折が次の人生にどうつながったかがわかります。今、苦しんでいるあなたに「それでも大丈夫だ」と伝えたくて書きました。
夢の始まりは、あのマンガの主人公だった
私が警察官を夢見たきっかけは、漫画の両さんでした。
こち亀はずっと好きな漫画で、笑えて、泣けて、ときに学びもある作品です。
その主人公・両さんは失敗も多いけれど、地元の人たちのことをよく考えて、慕われている。
そんな警察官に憧れました。
剣道と試験対策。誇りを胸に挑んだ日々
高校時代、全力で夢に向かった
高校では剣道部に入りました。警察官の採用試験で武道が有利になると聞いたからです。
剣道部では現役の警察官の方々と稽古をする機会があり、直接仕事の話を聞けました。誇らしそうに仕事を語る姿を見て、「私もこうなりたい」という思いがさらに強くなりました。
採用試験に向けては、学校では習わない範囲の勉強も時間をかけて取り組みました。
体力試験のために筋トレとランニングも続けました。
面接対策では複数の先生が面接官役を引き受けてくれて、入退室の作法から意地悪な質問への対応まで、徹底的に鍛えてもらいました。
今思えば、全て本番のためを思ってのことで、本当に感謝しています。この時の経験は、後の市役所の試験でも活きることになります。
合格の報告、父の一言
試験は無事合格。家族や先生方、お世話になった警察官の方にも報告に行きました。
普段無口でぶっきらぼうな父親が嬉しそうに
「良かったな」
と言ってくれたことは、今でも覚えています。
3. 警察学校の洗礼。そして現場へ
10ヶ月の訓練を乗り越えて
警察学校の生活は、予想通り厳しいものでした。
時間厳守、身の回りの管理、毎日のトレーニングと訓練、法律や専門知識の授業。
折れそうになった時は家族に電話をかけて自分を奮い立たせました。
同期たちとは笑い合い、泣き合い、「卒業して現場に出たら」と励まし合いながら過ごしました。
途中で辞めていく同期もいました。
それでも10ヶ月を乗り越え、ついに卒業。交番への配属が決まりました。
卒業式の前夜、全員で布団を並べて寝ました。「これからもお互いに頑張ろう」と言い合って。
ただ、誰かのいびきと歯ぎしりがあまりに凄まじく全く眠れなかったので、この就寝スタイルは正直おすすめしません。
今だから笑える「警察学校の洗礼」だったのかもしれません(笑)。
4. 憧れた「両さん」とは違う、現場のリアル
警察学校を卒業し、交番勤務が始まりました。いつか両さんのように、地域の人たちに慕われる警察官になる。そう思っていました。
特に力を入れたのは、一軒一軒を訪問する巡回業務です。ちょっとした世間話や住民の不安を聞くことで、身近に警察官がいると感じてもらえる。少しでも安心して暮らせるようになるのではないか。それが私の理想とする警察官像でした。
しかし現場では、毎日様々なことが起こります。交通事故の処理、酔っぱらいの対応、取り締まり、昼夜のパトロール。感謝されることよりも、罵声を浴びせられることの方が多いかもしれません。
5. 削られていく日々、そして折れた心
眠れなくなった夜
不規則な交代勤務、気の休まらない毎日。勤務明けの予定が急遽延長され、丸一日業務をこなすこともありました。
徐々に疲労が積み重なり、あれほど憧れていた仕事が、だんだんと苦しいものになっていきました。休みの日は疲れて眠り、仕事へ行き、また休みには眠る。そんな日々の中で、ある日から夜が眠れなくなっていきました。
きっかけは、勤務班のメンバー交代でした。
以前から親しくしていただいた先輩と同じ班になることが決まりました。
嬉しいはずなのに、今の自分では迷惑をかけてしまう。
重荷になってしまう。
どうしたらいいのか。
毎日考えても答えが出ないまま、その日が近づいていきました。
父への電話
そして私は、父に電話しました。
私の合格を誰よりも喜び、知人に嬉しそうに話していたと聞いていた、あの父親に。
電話口で最初に出た言葉は、
「ごめん、この仕事を辞めたい」
でした。
涙が止まらず、言葉が続かず、ごめんとしか言えない私に、父はこう言いました。
「気にするな、帰ってこい。」
職場の方々からは引き止められましたが、当時の私は「もう無理だ」という考え以外、何も持てなくなっていました。
退職手続きを終え、最後の挨拶に行った日、お世話になった先輩に声もかけられないまま、逃げるように実家へと戻りました。
6. 地元で見つけた新しい夢
地元に帰ってから、将来の夢を失い、しばらくは何もやる気が起きない日々が続きました。
1ヶ月ほど経った頃、「このままではいけない」と思い仕事を探し、地元の文化施設で非常勤職員として働き始めました。
そこで出会ったのが、市役所の方々でした。地域の人たちと関わりながら、地元の文化やイベントを一緒になって盛り上げ、作り上げていく姿。
それを見た瞬間、「これだ」と感じました。
形は違えど、私が警察官時代に追い求めていた「地域の人々の身近な存在として喜んでもらう」という理想が、そこにはありました。
7. 市役所での第二の人生
新しい夢が見つかってからは一直線でした。勉強も仕事も全力で取り組み、合格を勝ち取り、現在まで続く市役所人生が始まりました。
警察官だった頃には想像もできなかったような、家族との時間を大切にできる穏やかな毎日です。その後、子どもの誕生をきっかけにさらに転職を決意した話はこちらの記事でも書いています。
あの時、勇気を出して新しい道を選んで本当に良かったと、心から満足しています。
8. これからの夢
そして今、新たな目標に向かって走り出しています。
FP(ファイナンシャル・プランナー)として学んだ知識を活かし、家族の生活をより豊かにすること。そしていつかはこの知識で誰かの相談に乗り、地域の役に立つこと。
警察官として挫折したあの日から、長い回り道をしてきました。でも、その全てが今の自分につながっています。
この記事では、警察官になるまでの道のり・心が折れた経緯・立ち直って市役所職員になるまでの体験をお伝えしました。
あなたの挫折も必ず将来のあなたを支えてくれます。今は少し休んで、そして、また歩き出せば大丈夫です。


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